その時、鋭い風が吹き、草木が揺れた。 風に突かれて、金木犀の香りが、私の鼻をくすぐる。 「…………っ!!」 そうだ。私は…………………… その時、私は、 全てを思いだした。 私が、探しているのは、 ホシは、 黒羽くんじゃ、ない。 ハッと目が覚めた。 惑わされちゃ、いけない。 窓辺に飾ってある澄んだライトブルーの小瓶も 壁に掛けられた向日葵の写真も 全部 全部 彼だった。