「さすがにもう食べれないから、残りは瀬戸が食べろよな」
「ほら」と渡された橘くんの食べかけチョコレート。
こっ、ここっ、これ次にわたしが食べたら間接キスってやつだよね?
「好きなんだろ、ミルクチョコ」
「好き……だけど……」
ここで間接キスなんて意識したらおかしいかな?
橘くんには下心なんてないんだ。
平常心、平常心………。
呪文を唱えるように心の中で何度も繰り返し、震える手で食べかけチョコレートを口へと運んだ。
パキッと一口食べても味なんて全くわからない。
チョコの味なんかより橘くんとの間接キスしか考えられない。
うっわあ…………。
橘くんとついに間接キスしちゃった……。
英和辞典を忘れてよかったと心から思う。
「えっと………チョコって……甘いよね」
何か言わなきゃと思って出た言葉。
ミルク味だもん、甘くて当然なのはわかってる。
でもでもっ、意識しすぎて何話せばいいのかわかんないんだもん。



