「んーーーー………」
1人歩きながら、奇妙な唸り声をあげているのはわたしだ。
英和辞典を両手に抱えて校内をさ迷っている途中。
4組に行って、購買に行って、廊下を歩いても今だに橘くんが見つからない。
もしかして隠れる天才?
他のクラスを覗いてもやっぱり居ないし、空き教室はだいたい鍵が掛かっている。
わたしの探し方が下手なだけなのかなぁ。
いつもどこでお昼を食べてるのか聞いたことないし、見つけられない気がしてきた。
「橘くんが行きそうなところってどこなんだろう………」
ボソっと呟くと、1つ気になる場所が頭に浮かんだ。
そこはもちろん、
図書室。



