「貸してくれて本当にありがとう!助かりました」


「別に」



「じゃあ、昼休みに返しに来るね」



軽く手を振って、ようやく自分の教室へと戻る。

スキップでもしながら鼻歌でも歌いたい気分だ。


本当にここ最近のわたしは幸せ者だなぁ。

運を全部使い果たしちゃってるんじゃない?


だって、返すことを口実にまた橘くんに会えちゃうんだよ。


図書室以外で会うのはまだちょっぴりくすぐったい感じ。

体がそわそわして落ち着かない。


あーあ、早く昼休みにならないかなぁ。



いつもはつまらない英語の授業も、この日だけは特別楽しかった気がした。