「何じろじろ見てるんだ」


「あ、いや……なんの本読んでるのかなって」



カウンターから見て正面の隣、右のテーブル。


そこがわたしのいつもの席。



ずっと見ていたのに気づかれて少し恥ずかしい。


でも、橘くんから話しかけてくれるなんて………感激っ!



「…………罪と罰」


「面白い?」


「まぁ」



「そうなんだぁ。わたしでも読めるかな〜?なんて……」


「無理」

「うっ……」



それでも相変わらず冷たかった。