「じゃあ、このチョコはわたしが食べーーー………わっ」
諦めて自分の口にチョコレートを運ぼうとした瞬間、突然ぐいっと右腕を引かれた。
「………っ!」
そして、わたしの指先にあったはずのチョコレートが橘くんの口の中へと消えていく。
うわぁああああ、顔近いっ…………。
しかも、指先が橘くんの唇に少し触れた。
「いらないとは言ってない」
今度は立場が真逆だった。
ふっと余裕な笑みを浮かべる橘くんと、一瞬にして赤面するわたし。
わたしなんかじゃ橘くんには叶わない。
改めてそう感じた。
「とっ!とととっ、と、図書室は飲食禁止だよ………?」
「瀬戸があげるって言ったんだろ?」
わたしが橘くんに意地悪するはずだったのに、逆に意地悪されてしまった。
橘くんは不意に顔を近づけ、わたしの反応を見て楽しんでる。
びっくりするし、恥ずかしいけど、その後の笑顔が好きだからわたしはまんまと罠にはまってしまうわけ。



