橘くんが口を開けて息を吸い込むと同時にわたしの体がピクリと反応した。
あ、くる。
なんて頭の中で考えてしまったからだ。
「あの時、花火の音がうるさくてキミがなんて言ったのか聞こえなかったんだよね」
「…………へ?」
予想していた答えと全然違う。
百合ちゃんが好きとか、他に好きな人がいるとか、誰とも付き合う気はないとか、
わたしのことが嫌いとか。
何を言われてもいいよう頭の中でたくさんシュミレーションしてきたのに、なんて予想外。
さすが橘くん。
予想の上の上を超えてくる。
「なに、それ」
要するにわたしは橘くんに告白すらしていないってこと。
本人に聞こえていないのなら、言ってないと同じだもの。
橘くんは返事をくれないんじゃなくて、返事ができなかったんだ。
今更こんな事実を知ることになるとは思ってもいなかった。
悩んでいたこの数日間がとてもアホらしく感じる。



