「離せよ」
「あっ……」
せっかく橘くんを捕まえたと思ったのに、掴んだ手は振り払われ、行き先を失った右手をぎゅっと握り締めるしかなかった。
怖がるな、わたし。
こんな冷たい言葉を発していても、わたしは本当の橘くんを知っているでしょう?
ただ冷たいだけの人じゃないって。
「用がないなら俺は帰…………」
「花火大会の日の返事を聞きに来たの!」
視線を逸らさず、しっかりと橘くんを見据えて言うことができた。
震えてるだけじゃなにも変わらない。
大輪の花火が上がる下で告げた「好き」の言葉。
ようやく答えが聞ける………。
花火大会から1ヶ月以上過ぎているけど、覚えてくれているかな。
「あぁ………あの時か……………」
1秒ごとにドキン、ドキンと心臓が弾む。
わたしは泣かずにちゃんと笑えるだろうか。



