ここに来るのはいったい何日ぶりだろう。


しばらく来ていなかっただけで、こんなに図書室の扉を開けることに躊躇するとは思わなかった。

変な汗が滲み出て居心地が悪い。


橘くんを好きになったあの日から今日まで、何度この扉の前で深呼吸を繰り返したことだろう。


緊張してる。

それだけはずっと、ずっと、変わらなかった。


変な思いが募る前にさっさと開けて橘くんの姿を目に入れてしまおう。

いつも通りのわたしでいい。


怖いものなんて何もないじゃん。


何度だってやり直せる。

だって、そうでしょう?

間違ったらまた最初から始めればいいんだ。


「よし……」


ようやく腹を決めれば、図書室の重い扉をゆっくりと開いた。