「旭陽のことなんだけど……」
「………!」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに、ぴくりと体が反応した。
やっぱり橘くんのことか……。
橘くんと付き合い始めたとでもわたしに報告しに来たのだろうか。
くるりとこちらに体を向け、屋上の柵に体を預けながら百合ちゃんはまた言葉を繋げていく。
「最近、旭陽の様子が変なの」
「へ、変って………?」
「なんか上の空っていうか、本読んでても本当に読んでるの?って感じにぼんやりしてるのよね」
予想していた答えと違いすぎて少し反応に遅れてしまった。
どうしてそんなことわたしに聞くんだろう。
わたしが橘くんを好きだったから?
橘くんとはあの日からずっと会っていないというのに。
「あなたなら何か知ってるかと思って」
表情を歪めて言い放つその言葉から本当に知らないから聞きたいのだという気持ちが、伝わってきた。



