「急に引っ張るからどこに連れて行くのかと思えば………なんで屋上なのよ」
「ごっ、ごめん。人が居なくて落ち着ける場所っていったらここしか思いつかなくて」
とりあえず誰も居ないところを目指していたら最終的にここ、屋上に辿り着いた。
夏場の屋上はよく人が集まっていたけど今は違うみたい。
冷たい秋風がみんなを遠ざける。
こには誰も居ない。
「屋上って初めて来たけど案外眺めはいいのね」
乾いた笑顔をわたしにちらりと見せてから柵に手をかけ、
「あっ、いい風」
と違和感のある言葉を繰り返している。
そしてその度に複雑な気持ちに落ちていく。
「何か用があったんでしょ……?」
わたしのことなんか気にせず空を仰ぎ見る百合ちゃんに思わず疑問を投げかけた。
百合ちゃんがわたしのところにわざわざ来る理由なんて、たぶんひとつしかないと思うけど。
一応、心当たりはあったりする。



