楽しかった日々はもう戻らない。

残るのは橘くんへの届かない想いと湧き上がる歪な感情だけ。



「もう、橘くんの友達やめる」



これ以上傷つきたくなかった。

全部忘れて楽になりたかった。


橘くんに恋したことを後悔したくない。

いい思い出として終わらせたくなったんだ。


「なっ……なに言って……」


わたしが傷ついた分だけ橘くんも傷つけばいい。

「行くな」って泣いてすがればいいのに。


そんなことありえないってわかりきっているけど。




「さよなら」



目も当てられずその場から駆け出した。