会いたい。
橘くんに会いたいよ。
本当はずっと、ずっと、会いたくてたまらなかった。
廊下ですれ違ったときも、教室を通り過ぎたときも、放課後の図書室も、
いつだって橘くんはすぐ近くにいたのに。
会って、話をしたいよ。
いつもみたいにわたしにあの笑顔を向けてほしい。
「橘くん…………」
「なに?」
え。
誰………?
バッと振り返ると、驚きのあまりすぐに声は出なかった。
「なに1人で泣いてるんだ」
居るはずのない橘くんが突然目の前に現れたからだ。
「えっ、なんで橘くんがここに………」
幻覚かと思った。
橘くんのことを考えすぎてついに頭がおかしくなったのかと。
何度瞬きをしても橘くんは消えないし、きっとこれは現実だ。
こうしてちゃんと向き合うのは何日ぶりなんだろう。
波打つ心臓が余計に気になって仕方がない。



