走って、走って、走って。

息ができなくなるくらい、ただひたすら前を向いて走った。



わたし自身も花火のように弾けて消えてしまえたらいいのに。

そうすれば橘くんを想うこともなく、今すぐ楽に慣れるのに。


そう願っても、橘くんへの気持ちは簡単に消えるわけがない。

好きが重なって溢れてくる。


1人じゃ抱えきれないよ。

助けて、苦しいの。


わたしだって、橘くんのことが……。



「好きだよ…………」



わたしの恋は、打ち上がる花火と共に夜空へと飛び散った。