トクン、トクン、と弾けそうなほど大きな音を鳴らす心臓音。 橘くんの体にぴったりくっついているからわかるけど、これはわたしだけの音じゃない。 「泣くなよ………」 そう言って涙を拭ってくれる橘くんの手がとても温かくて、優しくて、逆にまた涙が溢れそうになる。 花火を見る前にまた少しキミにが近づいた気がするよ。 全身が心臓になったみたいに熱い。 橘くんがドキドキしているのはわたしを探して走っていたから? それとも…………。 わたしを抱きしめているからですか?