今、似合ってるって言ってくれたの……?
空耳でも他の人でもない、確かに橘くんの声だった。
「橘くん、こっち向いてよ」
「うるさい」
「ねぇ、照れてるんでしょ?」
「話しかけるな」
「はーい」
さすがに怒りそうなのでこれ以上聞くのはやめておいた。
下を向いても横を向いてもわかるよ。
ふわりと生暖かい夏風が吹いた。
揺れる橘くんの髪の毛の隙間から赤く染まった頬が見える。
「………ありがとう」
冷たく突き放してから突然優しい言葉をかけるなんて、橘くんがくれる優しさはすべて計算されているよう。
そんな作戦にまんまとはまってしまうのがわたしだ。
でも、嫌じゃない。



