ドキドキと期待に胸を膨らませ、頭上に並ぶ赤提灯を見つめていた。


淡く輝く見慣れた夏の風物詩に心が揺れる。


うっ……心臓の音がすごい……。


何かを集中して見ていれば気が紛れて緊張がおさまるかと思っていたけど、特に効果はなかったらしい。



「どこも変じゃないかな……?」


ここに来る前に何度も鏡の前でチェックしたはずなのに自分の姿が気になって仕方がない。

持っていたスマートフォンに自分を映してもう一度確認を始めた。



今日はついに橘くんと約束をした花火大会当日。


大好きな橘くんと一緒に花火大会に行けるんだと思うと楽しみで仕方なくて、毎日頭を悩ませていたらいつの間にか夏休みに突入していた。


髪型はどうしようとか、浴衣はどんなのを着ようとか、何を話そうかとか、時間は今でも足りないくらい。


今日のために新しい浴衣を選びに行き、雑誌やネットで可愛い髪型を研究した。

少しでも橘くんの瞳に可愛いく映ってほしかったから。