ぶつぶつと文句を言ったところで現状は変わらないが、言わずにはいられない。



ペタペタと廊下を歩くたびに鳴り響く自分の情けない足音。

外で活動している運動部の掛け声や、演劇部の発声練習など、いろんな音が校舎内を飛び交っている。


どこの部にも所属していないから水曜日の放課後以外はすぐ家に帰ることが多かった。

だから、これら全てわたしの知らない初めて聞く音ばかり。



「新しい発見をしたのはいいけど、なんで音楽室は4階にあるんだろう……」


わざわざ上の階まで上がっても、結局は下駄箱のある下の階へと戻るだけ。

無駄な体力使わされてるって考えると気分悪いな。



ため息でも吐こうかと息を吸い込んでいると、


「あっ」


壁にある掲示板に貼られた1枚のポスターがちょうど目に飛び込んできた。


「ふっ」と勢いよく吹き出た吐息。

ひらりと揺れたポスターは近所で開催される、花火大会の詳細が記載されたものだった。