百合ちゃんとわたしの橘くんを巡る戦いは目まぐるしい日々の連続だった。


お昼は当然のように橘くんが間に並んで食べるようになり、毎日の日課へと変わった。


百合ちゃんの美しいお弁当に負けじと普段料理を全くしなかったわたしも橘くんにお弁当を作るようになっている。


百合ちゃんのお弁当には「おー、さすがだな」と褒めているのに対して「瀬戸の玉子焼きは甘すぎ」とわたしにはきつい言葉。


甘党なわたしが作ったんだから当然甘くなるわけだけど、

少しくらい褒めてくれたっていいじゃん。


料理が下手なわたしが悪いのはわかってるけど、橘くんが喜んでくれたらいいなと思って作ってる。


だから「美味しい」とか「すごい」とか一言でもいいから貰いたい。

そう思うのはやっぱり欲張りなわたしのわがままなのかな。




水曜日の放課後の図書室は相変わらずわたしたち3人だけだった。


百合ちゃんとは隣に並んで座り、橘くんはカウンター。


たまにちらりと橘くんを見ると目が合うことが多くなった気がする。


百合ちゃんが居なかった頃は、ずっと本に集中していて、わたしのことなんか少しも見なかったはずなのに。


ちょっとした変化。