ずっと勇気が欲しかった。
誰にも負けない力を求めていたの。
この恋を終わらせたくないから。
橘くんをまだ想っていたいから。
誰よりも大好きだから………。
「わたしと旭陽はね、結婚の約束をしてるの」
この数秒で同じ言葉が頭の中で何度も、何度も、繰り返されている。
まるでわたしの時間だけが狂ってしまったみたい。
「だからあなたの出る幕なんて1ミリもないの。わかった?」
結婚?
出る幕はない?
なんなの、それ。
急にそんなこと言われて「はい、そうですか」と簡単に受け入れられるほどわたしはできた人間じゃない。