仕事で忙しいお母さんに『鍵を忘れて家に入れない』なんて返事を出せるわけがない。


まぁ、帰りが遅いといっても普段の帰りは17時頃。


遅くても19時には帰って来るはず。



「うーん、それまでどこか時間を潰せる場所に行きたいけど………」


友達はみんな部活中、

カフェに行くこともできない、

先生のところに行くのは気が引ける。



もしかして校内だと“あそこ”しかないんじゃない?


悩んだ結果、1つの場所しか思いつかなかった。






1階にある渡り廊下に最も近い場所、



図書室。



普段全く本を読まないわたしがここに辿り着くとは………。


あんなにたくさんの文字をずっと見てるとだんだん眠くなって、最後までちゃんと読めたことがない。


言わばわたしと本の相性は最悪。

だけど今は図書室しか行く場所が思いつかない。



ぶつぶつ1人で文句を言いながらも、図書室まで足を進めた。