燃え滓と夜にみる夢【短編】


その日から、グラウンドを見下ろす儀式は止めた。

隣の彼女には、もう興味が無くなった、と嘘をついた。彼女の儀式は相変わらず続いている。羨ましく思う反面、罪悪感は膨らむばかりだ。

あの頃、私は彼女が傷つくことを恐れ、そして私の本当の気持ちを言ってしまったら、彼らの友情に変化が起こるのではないかと恐れた。私のこの気持ちさえ、無かったことにすればいい。それでいいと言い聞かせた。その程度のものだったと、一人涙を流したが他に方法が見つからなかった。


そのまま時は過ぎ、卒業後は彼女とも疎遠になってしまった。学校が離れ、環境が二人を分け隔てたからだ。繋がりと云えば、年賀状のやり取りぐらい。結婚した彼女は住む場所も遠く離れてしまった。

あの頃の私にとって、大切だったものは何なのだろう?

今の私には、分からなくなってしまったのか?

それも当然と云えば、それまでだ。もう沢山のことが変わってしまって、あの頃の私ではないのだから。