私は小さく息を吐きだし、葵に微笑んだ。 「そろそろ、行きましょうか」 みんなはもう先に行ってしまっている。 向こうにいる龍が「おーい、早く―」と手を振っている。 「そうだね」 それに気づいた葵もにっこり笑うと、私たちはみんなのもとへと歩き出した。 もし、わがままを言っていいのなら。 私は__________________たい。 それがかなわない願いだとしても。 私は振り返り、もう一度だけオレンジ色の海を見つめ、歩き出した。