バイクに乗った私の前に、蓮央が乗る。 「どこでもいいなら俺がテキトーに連れてくぞ」 「うん」 外の空気吸いたかっただけだから、どこでもいいや。 ヴォォンと荒い音を立てて走るバイク。 前は【桜蘭】を思い出して嫌だったその音も、今なら心穏やかに聞ける。 「ねぇ蓮央、どこ行くの?」 「んー、着いてからのお楽しみ」 珍しい、蓮央が焦らすなんて。 そんなに秘密の場所なのかな……?