国王はシオンに問いかけた。ジュリアは一般人なので貴族達から反発する可能性が高い。ジュリアを守るためなら、何をしてもいいと心に決めていなければならない。

「覚悟は出来ているな、シオン。お前がきちんとしていないと、ジュリアに危険が起こりうるやもしれん」

そう問われたシオンはにこやかに頷くと、当然というよ顔で父王の問いに答えを出した。

「それには心配はございません。ジュリアにはずっと笑っていてほしい。体が弱い彼女には武術などを覚えさせたくはないので、執事であるウィリアムは元は兵士で四年前まで私の近衛兵だったので、私がいない時は彼がジュリアを守ります」

そう告げると窓を眺め空に浮かぶ雲を目を追い、父王に再び視線を向けた。
「主治医もウィリアムと同期で四年前まで同じく私の近衛兵で唯一医師の資格を持っていた彼に任せてあります」

シオンは自分の近衛兵に前もって五年程前から頼んでいた。ウィリアムは一年間執事学校に通い、卒業後は上級貴族の執事として過ごしてきた。

ジュリアを迎え入れる年に再びシオンの元に戻り、シオンに忠誠を誓い、ジュリアを守る準備をしていた。
主治医になる者の名はチャールズ・スピヤードといい、元々医者としての顔も持っていたので王立病院で内科医としていろいろと実力を戻ってきた。ジュリアがよく行っていた診療所の主治医に訳を話し、いろいろと健康面の事などについて聞いていたりもした。やはり、知っての通りジュリアの薬嫌いは難点らしい。

チャールズは笑っていたのだが、少し顔が青かったのは気のせいではないだろう。
「そうか、彼女の身の安全は大丈夫そうだな。ジュリアのことはお前に任せてあるとはいえ、困った事などがあればいつでも相談するがよい」

国王である父王がにこやかに微笑む。

その時だ、いきなり、扉を開け放たれたのだ。