兄妹ものがたり



「人生には、変わらないバカも必要ってことですよね」


おどけるように笑って見せると、呆れたような、けれどどこか笑いを含んだ先輩のため息が聞こえた。


「小沼の分際で、生意気に悟ったようなこと言うな」


よく見れば、車外は見慣れた景色に包まれていて間もなくドライブが終わりを迎えることを知る。


「先輩」


晴れやかな気持ちで声をかければ、先輩がややめんどくさそうに応える。


「また飲みにいきましょう!」

「…お前とサシは遠慮する」

「ええー!なんでですかー」


無駄に声を張り上げて、うるさそうに目を細める先輩にじゃれつく。
ゆるゆるとスピードを落としていく車が、ハザードランプを点滅させながら道の脇で停車すると、もうそこは自分の家の前だった。