絶対主従関係。-俺様なアイツ-

「禅様、いつもありがとう」

 ととても嬉しそうに笑うお嬢様は、禅くんをじいっと見つめていた。

可愛らしい子が笑うと、見ているこっちまで温かな気分になる。

そして、あたしにまで顔を向けてきた。

「帝様のお屋敷の方でしたのね」

 やんわりと微笑むもんだから、あたしの胸までキュンときた。

オトコだったら、絶対惚れてるね。うん。


「あ、はい!……涼原愛子と申します」

「愛子さんね!」

 ペコリと腰を折ったあたしの手を、あろうことかぎゅっと握ってくる。

「りりか様!」

 また背後で雷が落ちる。


「また後でお話しましょうね」

 と後ろの彼女から逃げるように屋敷へ駆け込む。

そして、カツカツとやってきた、お嬢様のお付といわれる女の子。


さっきの自分は、当に萎縮して青い空に消えていってしまっていた。


「そこの方、りりか様をあまり刺激なさらないでくださいね」

 冷たい視線をよこしてくる。

「す、すみません……」

 あたしは巻き込まれただけなのに、と文句も言いたいところだが、なにせ相手はお客様。

ぐっと堪えて謝罪する。


進み始めた歩みが、再び止まる。

「私は秋吉見早です、以後お見知りおきを」

 そういい残して颯爽とお屋敷に消えていく。


「愛子ちゃん、見早さんに完全に目ェつけられたね~」

 のん気な禅くんはいいわね。

「一難さって、また一難……?」


 ガックシと肩を落とす以外できなかった。