休憩所の中は、思っていた通りクーラーがよく効いていた。

 それなりに人が見受けられる。朝だというのに、この厳しい暑さである。人々は此処に避難していたようだった。

 長テーブルにパイプ椅子の羅列。建物の外観の割に、高々そんな程度の空間であったが、隣の湯沸かし室から用意されたお茶が、有難い事に、飲み放題となっていた。

 私はお茶を貰い、一つのテーブルに着いた。紙袋の隙間からコロッケが、面白そうに此方を覗いている。

 ──食うか。

 手を伸ばし、コロッケを一口食べる。

 冷めてはいたが、まだほんのり温かみが残っていた。一口目のコロッケは、カリッとした外側に、中は絶妙な塩加減だった。

 ……しかし、飲み込めなかった。うまく、飲み込めないのだ。

 よく噛んで何度も飲み込もうとするが、喉元にて止まる。

 いつまでもそうしている訳にもいかず、仕方なくお茶の力を借りて、流し込んだ。


「アンタ……、どっか悪いんかい?」

 斜め前にいた白髪のお婆さんが、私の様子を見ていたらしい。

「苦しそうじゃの」

 よく日に焼けた、しわくちゃな顔だった。小さく縮こまったように椅子に座り、テーブルが顎の真下にあった。

「すみません。ちょっと喉が腫れてまして」

「そうですかい。食べられんのかいな」

「何か食べなくてはいけないと、医者には言われているのですが、なかなか難しくて」

「それはそれは、辛そうやの」