初めて眺める屋上からの景色はすっきりと澄み渡って見えて、風がとても心地良かった。

晴れている今日は、梅雨のじめっとした空気も感じない。


「気持ちいい~!」

「いいだろ、ここ」


柵の手前で伸びをする私の横に、如月くんが柵を背にして座り込んだ。

リラックスする彼の隣、一人分くらいの空間を開けたところに、私も遠慮がちに腰を下ろして問い掛ける。


「どうして如月くんが鍵を持ってるの?」

「先生から鍵の場所聞き出したから、使いたい時にこっそりスペアを借りてる。昼休みとか、ひとりになりたい時はだいたいここに来てんだ」

「そうなんだ……」


さすがと言うか、やることが大胆ですな。


「よくバレないね」

「別に何も悪さするわけじゃねぇからな。昨日借りたまま返すの忘れてたけど何も問題にならないし、皆ここの存在忘れてるな、たぶん」

「へぇー……」


さらっと口にされていく事実に、いいのかなそれで、と苦笑しつつあいづちを打っていた。

そんな私を横目で見て、彼が言う。


「誰にも教えるつもりなかったんだけどな」

「ご、ごめん……!」