でも今の言い方だと、自分より私のことを気にかけてくれているようにも感じる。

それが気のせいだとしても、ここで引き下がりたくない。

引き下がったら、これから先もこの恋はうまくいかないんじゃないかって、なぜかそんな気がするから。


黙ったままの私に、如月くんは階段を上ろうとしながら言う。


「わかったらさっさと戻って──」

「そんなの、関係ないもん」


私の口から飛び出した強気な言葉に、ぴたりと彼の足が止まる。


「今さら噂立てられたり、変なこと言われても気にしないよ。一緒にいたいからいる、それだけです!」


えっへん!と胸を張って言い切ると、如月くんは少しだけ驚いたような表情で振り返る。


……ん? あれ、私、ちょっと大胆なこと言った?

“一緒にいたい”……ってなにヲトメなことを!!


「はっ! や、あの、もし迷惑じゃなければ、だけど……っ」


急激に恥ずかしさが襲ってきて、挙動不審になる私。

ひぇー、これだから妄想でしか恋したことがない文学女子は!


文ちゃんがいたらされそうなツッコミを自分で入れて、赤くなっているだろう顔を俯かせていると。