あぁ、どうしよう。

私、今はっきり確信してしまった。


今の言葉も、飛び上がるくらい嬉しくてキュンとしたけど、でも。

“嫌いじゃない”よりも、“好き”の二文字が欲しいって──。


やっぱり私、如月くんが好きだ。

気付いてしまったら最後、もうこの気持ちを消すことは出来ない。

彼が秘密を抱えていても、絶対に叶わない恋だとしても……。



「何やってんだ、家こっちなんだろ?」


不思議そうに振り返った如月くんの声で、足が止まっていたことに気付く。

慌てて駆け寄るけれど、なんだか夢の中みたいにふわふわしてる。

「ご、ごめん」と謝る私に、彼は呆れ顔。


「また妄想にふけってたのかよ。病院行くか? 俺が送ってやるぞ」

「それなんか危ない意味に聞こえます!」


一瞬、ボロボロで病院送りにされる恐ろしい図を想像して、顔を引きつらせると、如月くんはおかしそうに笑っていた。


あーもう、彼の笑顔が見られるだけで、歩幅を合わせて並んで歩けるだけで幸せで。

それと同じくらい、胸が苦しい。

初恋ってピンク色じゃないんだな……。


綺麗だけどなぜだか切ない夕日の色に染められながら、私はただ彼の隣で、トクトクと高鳴り続ける鼓動を感じていた。