路地裏を抜けると、小さな公園がある。

綺麗な夕日と元気な子供の声にお出迎えされて、今あったことが嘘のように思えた。

さっきまでと同じように、私の隣を歩いてくれる如月くんだけど、もう眼鏡はしていない。

その整った横顔をちらりと見上げつつ、芽吹いてしまった疑惑を投げ掛けようかと迷う。


……そういえば、バイト中に『パープルのことは知ってんのか?』って聞かれたっけ。

リーダーではないとしても、パープルと何かの関わりがあるのかもしれない。

どうしよう、聞いてみようか……


「あのー、如月くんって……」


そう言いながら彼を見上げると、まださっきの余韻が冷めきっていないような、鋭い瞳がギロリとこっちを向く。


「なに」


ひいぃ、やっぱり聞けない!

チキンな私はぎこちなく笑いながら、当たり障りないことを口にしていた。


「あ、あんなにケンカ強いなんてびっくりしたよー!」

「強かねぇよ。あいつらが弱いだけ」

「そ、そう? でも……」


これだけは言わなきゃ。

如月くんがどんな人であっても、私を守ってくれたことは事実なんだから。