うん、そうだ。きっとただの思い過ごしだよ。

如月くんがリーダーだなんてこと、あるわけがない。

あのピアスも、似たようなものをしてる人はたくさんいるはずだもん。


もーヤダな私ってば、変な詮索しちゃって。

やっぱり小説の読みすぎだな。と、呆れた笑いを漏らしていると。


「お前ら、今あったことと俺のことは一切他言無用だ。全部記憶から消せ。わかったか?」


三人の前にしゃがんだ如月くんから、怖いほどの無表情で語られる言葉に、皆は「は、はい……っ!」と返事をした。

そのただならぬ雰囲気に、私の口元も引きつる。


……まさか、ね。違いますよね?

でもでも、皆「すみませんでしたーっ!!」って土下座してるし!

さっきまでイキがってた三人がこんなふうになっちゃうなんて、如月くんってただ者じゃないよね!?


どぎまぎしながら皆の様子を静観していると、腰を上げた如月くんが私に目を向ける。


「帰るぞ」

「あ、は、はい……!」


無意識にまた敬語になってしまうけれど、彼はそんなことは気にせず、スタスタと歩いていく。

まだ土下座している三人になぜか小さく頭を下げた私は、彼の後を追った。