「す、すごい……」


ドラマみたいなアクションを前に、私は目を点にして突っ立っていることしか出来ない。

恐怖と驚きとで、身体が動かなかった。


「つ、強い……!」

「何なんだ、お前は……」


苦痛に歪む三人の顔を、如月くんはどこか楽しげな怖い笑みを浮かべて見下ろす。


「よかったなぁ、路地裏入っといて。大勢の人にみっともない姿見せられたくねーだろ?」

「うぐ……っ」


悔しそうな三人だけど、何も言い返せないらしい。

そしてふっと笑みを消すと、こちらまで凍らせられそうなほど冷たい瞳に変化し、同じく温度のない声色でこう吐き捨てた。


「どうせ地味な格好してる弱そうなヤツにしか絡めねぇんだろ。ゲスの極みだな、お前ら」


的を得ているのか、彼の毒舌に三人とも黙らされる。


「俺は金も女も他人に渡す気はさらさらねーよ。つーかまず、こんな昭和臭い妄想女子が俺の女のわけねぇだろ」

「ちょ、ちょっとヒドい……」


そうだけど、間違ってないですけど!

私は少しもオンナとして見られてないと断言されたも同然で悲しい……。