そんな心配をしながらも、彼に連れられるまま路地裏に入ると。


「なぁに逃げてんだよ。遊ぼーぜ?」


私達の前に坊主の男子が回り込み、行く手を阻んだ。

悪巧みしているような笑顔が怖くて、思わず如月くんにくっつく。

私とは反対に、相変わらずの無表情で動揺を見せない彼の前に、三人が立ち塞がる。


「なぁ、ちょっと金貸せよ」

「コイツ、フラれたばっかなんだよ。可哀相だろ? 慰めに恵んでやってよ」

「テメェ、それ言うんじゃねーよ!」


金髪男子につっこむ姿が面白すぎる。

再びふたりで俯いて笑いを堪えていると、坊主の彼が如月くんの胸倉を掴む。


「笑うなっつってんだろが! あぁん!?」

「っ、やめて!!」


私はとっさに叫んでいた。

どうしよう、このままじゃ絶対危ないよ!

如月くんがボコボコにされる絵を一瞬想像してしまい、血の気が引きそうになる。

あのキレイなお顔に傷を付けさせたくない!


「な、殴るなら私を殴ってください!!」


……一瞬、ぽかんとする皆。

私も自分の口から飛び出したすごい一言に驚く。