好きだからキスして何が悪い?

ギクリとして、どうしても彼らを意識してしまう。

如月くんも、チラチラと彼らを見る私に気付いたらしい。


「……あんまり見るな」


彼は少しだけ私に顔を近付けて、ボソッと小声で言った。

そうだよね、如月くんもきっとああいう人達は苦手なんだろう。

こくりと頷くものの、彼らの声は大きいから勝手に耳に入ってくる。


「カップルばっかでつまんねーな」

「お前はフラれたばっかだからだろ」

「ざけんな、あんなブス最初から興味ねぇっての!」


あ……見た目や態度は怖いけど、話している内容は意外と普通かも。

あの坊主の人、フラれたんだ。

強がってるけど、きっとショックだったんだろうなぁ。


「くっそー、ウサ晴らしにいちゃもんつけてやっかな」


ほら、やっぱりウサ晴らしってことはそれなりにダメージ受けてるんじゃないですか。

……って、それはやっちゃダメだから!


ほぼ無意識にちらっと彼らの方を見やると、タイミング悪く金髪男子と視線がかち合ってしまった。

いっけない!

思わずすぐに目を逸らしたものの、誰からともなく私達のことを言う声が聞こえてくる。