好きだからキスして何が悪い?

ちらりと見上げると、まだ口角は上がっていて。

彼のこの素顔を皆は知らないのだと思うと、再びドキドキと心臓が踊るのだった。



ドラッグストアで買い物を終えて外に出ると、夕日に照らされる街には、いつもより人が多くなっている。

皆駅の方へ向かっていくから、きっとお祭りに行くんだろう。


いいなぁ。このまま私も如月くんとお祭りに行けたら……

って、なに実現不可能なこと考えてるのよ。

まずその前に、こんなオシャレ感ゼロの昭和な格好で、大勢の人の中をウロウロすることがありえないでしょうが!


心の中で自分にツッコミを入れていると、如月くんが素っ気なく問い掛ける。


「家どのへん?」

「あ、えっとね……」


そうそう、もうこれで帰るだけなんだから。

家に着くまで、貴重な彼との時間を満喫できればそれで十分!

そう思いながら、簡単に道を教えてまた歩き出した。


そうして路地裏に入る手前のコンビニに近付いた時、なんとなく見覚えのある男子達が、駐車場の隅でたむろしていることに気付く。

金髪と坊主の三人組。あれは……

学校で見た、パープルの一員らしき不良だ!