「痛いよ、美紅」

「いつまでものそのそと髪いじってるのが悪い」


ひどい言いようにムッとする私。

まだ中学生のくせに、私より態度も胸も大きくて、読者モデルなんかも出来そうな女子力があるこのコは、いったい誰に似たんだろうか。


そんな美紅は、私と会うといつも不機嫌そうにしている。


「てか、いい加減やめなよ、そのきっちり三つ編み。今時そんなふうにしてるのお笑い芸人くらいだよ!?」

「え。でも私、前髪は厚くて長いけどセンター分けじゃないし」

「そういう問題じゃないっつーの!」


なぜか怒っている美紅は、ヘアバンドで髪を上げ、バシャバシャと顔を洗い始める。

……反抗期? お姉ちゃん、ちょっと悲しいんだけど。


しょんぼりしつつ、いつもの三つ編みをして、店員さんにすすめられるがままに買った、ローズ色のフレームの眼鏡を掛けた。

メイクなんてもちろんせず、これでいつもの私が完成。

おしゃれなはずのローズフレームの眼鏡も、なんだか浮いて見えるけど気にしない。


今日は朝からいい夢を見たんだもん。

一日、幸せな気分で過ごせそう。