あそっか、これが美紅に“原始時代くらいダサい”と言われる所以(ゆえん)なのかな。今気が付いた。

ひとり納得していると、体育館の外の廊下から、ガヤガヤと男子の騒ぐ声が聞こえてくる。


「アイツのせいでサッカー負けちまったよ」

「下手なくせに女子の前でイイトコ見せようとするからじゃねぇの」

「今度シメるか」


ぎゃはは!と笑いながら、恐ろしいことを言って歩いていく三人組が戸口から見える。

見た目は金髪だったり坊主だったりで統一性はないけど、ガラが悪そうな人相は三人とも同じだ。


「あれって“パープル”の一員かな? また物騒なこと言ってるね」


私と同じ方を見ていた文ちゃんが、眉をひそめてそんなことを言った。

私はキョトンとしながら彼女へと視線を移す。


「何? パープルって」

「えぇ、知らないの!? これだから本にしか興味がない文学女子は……」


はぁー、と盛大なため息を吐き出した文ちゃんは、呆れながらもパープルについて説明してくれる。


「このあたりじゃ超有名な不良グループだよ。この間も二年の男子がケンカに巻き込まれて病院行きになったって、皆大騒ぎだったんだから」

「うそ! 全然知らなかった……」