気になって皆で注目すると、彼はむすっとした顔で言う。


「そんなんじゃねーよ」

「またまた素直じゃないんだから~」


すかさず琉依くんがニヤニヤしながらつっこみ、私もつい笑ってしまった。

にこやかに見守っていた文ちゃんは、私の腕を軽く引っ張ってコソッと言う。


「菜乃、周りに何言われても、あたしが言ったこと忘れないで頑張るのよ」

「あ……」


そっか。

こういう時こそ、“好きになって何が悪い!”って開き直っちゃえばいいのか。

私は地味で妄想好きなメガネクラだけど、皆と立ち位置は同じ。

地味だからって、退く必要はひとつもないんだから。


「……うん! ありがとう、文ちゃん」


勇気が湧いてきて、自然と笑顔になる。

そんな私に気付いたらしい如月くんは、ふいにこっちに手を伸ばす。

そして、無表情のままだけど、私の頭をぽんぽんと優しく撫でてくれた。

まるで“大丈夫だ”って言うみたいに。

何気ないその仕草だけで、またときめきと力がもらえる。


如月くんも、ずっとそばにいていいって、あの時受け入れてくれたもんね。

彼と、自分の気持ちを信じて、何があっても負けない心を持たなくちゃ──。