私もギュッと手を握り返すと、夜空を見上げて涙を堪えた。

お祭りの時に見た空と同じなのに、今は比べものにならないくらい輝いて見える。

あの日会えていたとしても、こんなに幸せな気持ちは味わえなかったかもしれないな……。


「……私、如月くんの素顔を知る前から惹かれてたんだよ?」


琉依くんとのことを誤解していたらしい彼に、一応そう伝えておくと。


「俺もだよ」


予期せぬ言葉が返ってきて、彼を見やった目をぱちくりさせる。


「お前が本当はメガネクラなんかじゃないって気付く前から惹かれてた」

「っ……うそ」

「前から可愛いヤツだったよ、菜乃は。俺にとってはな」


──きゅうっと、胸が小さな悲鳴を上げた。

あ、あまい……! あの毒舌王子が甘いです……!


瞳をとろけさせていると、如月くんは繋いだ方とは逆の手で私の頭を引き寄せ、前髪に口づける。


「これから、お前が妄想してたこともそれ以上のことも、全部現実にしてやるよ」


はうぅ! 妄想女子にとって最強の殺し文句を……!

ドキドキと恥ずかしさでどうにかなりそうな私に、如月くんは余裕の笑みを浮かべると。

後頭部に手を添えたまま、今度は唇に甘いキスを落とした──。