好きだからキスして何が悪い?

彼がどういう意図でこんなことを言うのかわからない。

如月くんに何があったのかもわからないけど……。


「……私にも、できることがあるのかな? 如月くんのために」


琉依くんの言葉を聞いていると、“奏を支えてやってくれ”って言われているような気がするんだ。

自惚れかもしれないけど、私にできることがあるなら何でもしてあげたい。

恋人になんてなれなくても、友達として。


琉依くんをまっすぐ見つめていると、彼はにこりと笑ってこう言った。


「その素直な心のままで、アイツの隣で笑っていればそれでいいよ」


……キョトンとする私。

そんなことでいいの?

それなら、いくらでも力になれる気がするよ。


琉依くんと視線を絡ませ合っていると、どこからか誰かが走ってくる音が聞こえ、それがどんどん近付いてくることに気付く。

キョロキョロとあたりを見回した、その時。

私と琉依くんの間に、足音の主が走り込んできた。


「待てよ……!」


琉依くんを押し退けるように片手で肩を押し、息を切らす男子。

その黒髪の隙間から、切れ長の瞳を覗かせるこの人は──

き、如月くん!?