数日後、バイトも休みで何もする気が起きず、家でひとりゴロゴロしているとインターホンが鳴った。

モニターに映る人物を見て、急激に気まずさが襲ってくる。つーか……。


「顔がこえーよ」


ものすごく険しい顔でカメラを睨んでいる琉依に、俺は苦笑を漏らしながら応答ボタンを押して言った。

祭りのことを怒っているのだろう彼は、その表情を崩さないまま口を開く。


「Please let me in the room」

「聞き取れないけどダメ」

「入らせてって言ったの! わかってたでしょ!?」


最初から日本語で言えよ、とつっこみながら笑って玄関に向かった。

ドアを開け、やっぱり眉間にシワを寄せている琉依に、いつも通りの短い挨拶をする。


「よぉ」

「突然来てごめん。これ、どーぞ」


仏頂面のまま棒読みで差し出されたのは、手土産らしきアイスが入った袋。

その不釣り合いな感じがおかしくて、小さく笑いながらお礼を言って中へ招き入れた。


とりあえず冷凍庫にアイスをしまっていると、琉依が俺の背中に問い掛ける。


「……奏、何で来なかったわけ?」