重い声色で吐き捨てると、皆は叱られた子供みたいに目線を落としてシュンとした。

きっとそれぞれに思い当たることがあるんだろう。


菜乃と一緒にいて絡まれた時も失望したんだ。

金を巻き上げようとした挙げ句、女にまで手を出そうとしたんだから。


「もうパープルの名前は名乗るな。これ以上、格を下げんじゃねぇ」


コイツらが何をしようと、俺には関係ない。

だが、それを俺達が築いたグループの一員のせいにされるのは御免だ。


もうとっくに消えてるんだよ、パープルは。

俺が必要としていた場所は。

音哉がいなくなった、あの瞬間に──。


ふいに込み上げてくる悲しさを堪えて、俺は一歩踏み出し、男達の間をすり抜ける。


「奏さん……!」


眉を下げたマリの彼氏が、遠慮がちに呼び止めた。

振り返った俺は、さっきよりも軽い口調で言う。


「もうお前らが思ってる“奏”はいねぇよ。……俺はもう、つまらない人間になっちまったからな」


小さく嘲笑を漏らして、再び歩き始める。

そんな俺を、皆はもう引き止めることはなく、けれど寂しげな顔で見つめていた。