進路を決めなければいけない時期になると、俺の母さんも、音哉の母親と同じように『高校くらいは行きなさい』と言っていた。

親父が残してくれた金もあるし、そのあたりの心配はいらない。


これからは真面目に生きようか。

もう音哉にしてしまったような、取り返しのつかないことはしたくない──。


そう思い始めた俺は、パープルの奴らの誘いを断り続け、受験に向けて勉強に打ち込むようになった。

そうすることで、過去から目を背けていたのかもしれないけど。

皆がいない少し家から遠い高校を選び、さらに地味な姿に変えたのも、パープルの次期リーダーと言われていた自分を消したいから。

そう。俺はただ、皆から──昔の自分から逃げているだけなんだ。


母さんも琉依も、音哉のことは俺のせいじゃないと言ってくれていたが、どうしても罪悪感は消えないし、忘れちゃいけないとも思っている。

いまだにピアスを外せずにいるのが、その証拠だ。


もうパープルとは関わりを持ちたくない。

だけど、音哉との繋がりをなくしたくもない……。

そんな曖昧な気持ちのままでいたから、今みたいなことになっているんだ。