好きだからキスして何が悪い?

詳しくは語ってくれなかったが、きっと何か事情があって辞めたのだと思う。

でもそれを後押ししたのは、俺があの事件を起こしたせいなんじゃないかと、今でも後悔している。


俺もパープルの皆も、なんとか引き止めようとしたけど、音哉は集会にもぱったり顔を出さなくなり、誰も連絡を取れなくなった。

ただ、退学の話をする前にこんなことを言っていたんだ。

『俺がいなくなったら、パープルの今後はお前らに任せるよ。存続するも解散するも、好きにしたらいい』って。


その時の俺達は、そんなのはきっとまだまだ先の話だろうと、誰も重く受け止めていなかった。

でも、あれは音哉が残した大事な伝言だったんだよな……。


音哉がいなくなった後、皆の中では俺をリーダーにしようという流れになっていたようだが、

俺はぽっかりと心に穴が開いたように何も手につかず、リーダーになる気力なんて少しもなかった。


どうして相談のひとつも無しに、あっさり去っていってしまったのか、そのことばかり考えてしまう。

──俺が信頼できる弟になれなかったから?

だとしたら、やっぱりあの件が原因なのかもしれない……。