私と行くのが嫌なわけじゃないのかな……?

勝手に前向きに捉えて顔を上げる。

この際、もう少しねばってみようか。


「文ちゃんと琉依くんも行くって言ってるんだ。それでも……嫌、かな?」


すると、ピクリと反応した如月くんは、私と視線を合わせる。


「……琉依も?」

「うん。皆でお祭り、きっと楽しいよ」

「一番楽しみたいのはお前だろ」


うっ、ごもっともです。

男女の友達でお祭りなんて行ったことはないし、ずっと憧れていたから、実はすごく行きたいんだ。

それを見抜かれてモジモジしていると。


「……わかった、俺も付き合ってやる」


願ってもない言葉が聞こえて、私はぱっと顔を輝かせる。


「ほ、本当に!?」

「雨が降らなきゃな」


そう一言残して、彼は事務所から颯爽と出ていった。

しばらくぽかんとする私。

えぇと、天気予報はたしか晴れだったよね?

うそ……如月くんとお祭りに行けるんだ!


「やったぁ……!」


じわじわと喜びが湧いてきて、一発逆転ヒットを打った気分で、私はひとりガッツポーズを決めるのだった。