「いいんですか!?」

「うん、余ったやつだから。好きなだけ持っていっていいよ」

「わぁ、ありがとうございます!」


嬉しい~! 今使ってるやつ、そろそろ変えたいと思ってたんだよね。

わくわくしながら選び始める私だけど、如月くんはまったく興味がないらしい。

「お疲れ様でした」と言って、あっさり事務所へ向かおうとする彼を見て慌ててしまう。


早くしなきゃ帰っちゃうよ!

急いで選んで、私も店長さんに挨拶をして如月くんの後を追う。

そして、彼が開けたドアの先に、私も滑り込もうとした瞬間。


──バンッ!

「ぅぶっ!」


閉められたドアに顔面から思いっきり激突。

い、一歩遅かった……!


「うぅ~いったぁ~……!」


眼鏡を取り、鼻を押さえて悶える私。

痛さと情けなさで涙が出てくる。

おぉう、目の前に星が飛んでるし……。


クラクラしながらなんとか立っていると、中からドアが開かれ、如月くんが顔を覗かせる。


「あ、悪い。気付かなかった」

「い、いえ、私がおっちょこちょいなだけで……」