「とにかく。……ごめん」


ぶっきらぼうだけど、きっと本当に罪悪感を抱いているのだと伝わってくる。

私が口を開く前に、彼は事務所から出ていってしまった。


私が怒らせてしまったのか、そうじゃないのか微妙だけど……

仲直りできそうな気配に、単純な私の気持ちは一気に浮上してくるのだった。



 *



この日も忙しかったけれど、大きな問題もなく乗り切ることができた。

如月くんも、いつも通り口数は少ないけど普通に話してくれて、気まずさはもう感じなかった。

それに、なんだか名前で呼んでくれることが多くなった気もするし。


ここまでは私的に絶好調。

あとは文ちゃんからのミッションをこなすのみ!

ただ、このミッションが一気にハードルが高くなるっていう!


どうやって切り出そう……と悩んでいると、ニコニコ笑う店長さんが声を掛けてくれる。


「ソウくん、菜乃ちゃん、お疲れ様! よかったらこのブックカバーもらっていって~」


いろいろな種類の、紙のブックカバーが入った箱を掲げる店長さん。

それを見たとたん悩みがふっ飛び、私は目を輝かせる。