好きだからキスして何が悪い?

そんな顔して、コイツは琉依とのことを考えているのかと思うと、無性に腹が立つ。


「そういう生々しいコトするのが恋愛じゃねーか。男なんて頭ん中そればっかりなんだよ。琉依だってあんなナリしてるけど、お前なんかすぐに食われるぞ」


ナノの表情が、驚きと困惑が混ざった複雑なものに変わる。

俺も自分が何でこんなことを言っているのかわからない。

言いたいわけじゃないのに止まらねぇ。


「手繋いだのも、これで嫌がられなきゃイケるって試されてんだよ」

「違うよ! あれは私のことを気遣ってくれただけで、琉依くんはそんな人じゃ──っ」


最後まで聞かずに、俺はナノの肩を押した。

ベッドに倒れた彼女の上から覆いかぶさり、波打つ髪の横に手をつく。

怯えたように見開かれる目は、醜い獣のような俺を映していた。


「き、さらぎ、く……」

「お前は本当に男を知らねぇんだな」


幻想を抱きすぎなんだよ。

琉依は優しいしいい奴だけど、女関係は決して良かったとは言えない。

それを何も知らないくせに、アイツは安全だと思い込んでる。

それがイラつくんだ。